"石川啄木日記
【7:12】病気の子供の泣き声で起床。まだ眠い。顔を洗う。顔が濡れて詩想が出ない。
歯はみがかない。俺には金がない。
【7:22】朝食のかわりに胃に水をつめる。腹が持たない。イヤになる。
「金策に行っておいで」母の言葉だ。うるさいんだよ。俺は物乞いじゃないただの歌人なんだよ。
「気を付けて!」うるせぇんだよこの妻が。
【7:35】ダルい金策出発。小島の磯ではちっちぇ蟹がたわむれている。泣き濡れるぞ。
【7:43】「助けて~!」父が叫んでいる。俺にどうしろっていうんだよ。
【7:50】父救出。渋民村から石もて追われたらしい。うだつの上がらない俺だ。
【8:03】今日は曇りだ。気分が盛り上がらない。盛岡に帰りたい。
【8:46】母がため息をついている
【9:30】早朝金策終了。
【9:40】帰宅。
【9:45】お腹がすいた。腹に水を詰める。また腹が大きくなる。
【10:11】ローマ字で日記。病気の子供の泣き声でちょっといらつく。
【11:20】金田一京助 登場。
【11:22】「よ~く来たな、金田一!」 相変わらず元気な奴だ。
「石川!お前の『一握の砂』はすばらしい」本当はどうでもいい。カネ早く貸せ。
【11:40】友がみな偉く見える。鬱だ。妻に花でも買いたいがカネがない。
【11:42】「砂山でも掘ってみるか」ピストルだ。タイミングが良すぎる。誰が埋めたんだ?
【11:43】「不来方のお城の草に寝転びて……」さようなら、つらい現実、こんにちは15歳の心。
金田一がおろおろしている。
【11:45】「われは知るテロリストのかなしき心を」かなり自暴自棄だ。
「働けど働けどなおわが生活…」この状況にはうんざりしている。
【11:49】金策終了。「楽にはならないよなあ」じっと手を見る。
【11:53】母が来た。「お母さん!戯れに背負ってあげよう!」軽すぎる。三歩と歩けねえ。うだつの上がらない俺だ。
【12:30】帰宅。留守中に子供が息を引き取っていた。妻が玩具を握り締めてこっちを見ている。
やりきれない。遊郭でも行くか。"
10/06/25 12:51:08 ·